野球における心臓震盪

スポーツにおける突然死の多くは心循環系によるものです。

米国での40歳以下の若手スポーツ選手における突然死387例の原因の調査では、最も多いのは肥大型心筋症26.4%、次いで多いのが外因性の要因で発生する心臓震盪(com‐motion cordis)19.9%でした。

 

国内で発症した心臓震盪25例のうち野球での発症は10例40.0%と高率であり、原因として硬式球によるものが8例、軟式球によるものが2例でした。

 

         ゴロを取る野球選手のイラスト

 

内野守備中が4例、投手守備中が2例、デッドボールが1例、キャッチボール中が1例でした。ほかに打撃投手中の打球によるもの、守備中のイレギュラーバウンドによるもの、死球によるものなどが考えられます。

 

その対策として、打撃投手用のネットを適切に使用すること、イレギュラーバウンドを最小限に抑えるためにグランド整備をしっかりと行うことなどがあげられます。

 

心臓震盪防護用の胸部保護パッド(市販)を活用することも予防に有用です。しかし、十分にこれらが認知されているとは言えない状況です。そのため野球においては胸部にボールを当てないことを考えるべきです。

 

捕球動作の指導を変えていくことも必要です。守備の際にはフォアハンド、バックハンド(逆シングル)で確実にボールを捕球することを推奨しています。捕球の際にボールを胸に当てて止めるという指導が未だになされていることは事実であり、心臓震盪の原因にもなりかねないため注意が必要です。