尺骨神経麻痺のリハビリ
尺骨神経麻痺の症状が進行すると、手首や指の筋肉がやせ細ってしまいます。
すると治療を行っても、すぐに日常生活へ復帰することが出来なくなってしまうのです。
ゆえに尺骨神経麻痺では、弱った筋肉を回復させるリハビリが必要になります。
尺骨神経上の筋肉に過度な緊張がないかを触診し、緊張している部分や硬くなっている部分があれば軽い圧迫を与えてリリースします。
筋肉をほぐすことで症状が改善する場合、筋肉が影響して麻痺が生じていると考えられます。原因となる部分の筋肉をなるべく使わないようにします。
鉤爪変形などの予防・改善のために、重症度に応じて関節を正しい位置に固定するための装具をつけます。
装着時は麻痺している筋肉以外の部分まで衰えてしまわないよう、日常生活の中でも手を動かすようにしましょう。
知覚再教育はまず感覚が麻痺している部位に対して、触って圧をかけるなどの刺激を加えるところから始まります。
それを視覚で確認した後、目を閉じていても刺激を受けている状態が分かるように集中していきます。
改善していくにつれて物体認知や素材識別知覚など、感覚から情報を得るための訓練を難しいものにしていきます。
神経ほか損傷部位に影響しない範囲で、他動的な関節可動域運動をしていきます。
特に尺骨神経麻痺の場合は、指の付け根の関節(MP関節)の屈曲と、指節間関節(IP関節)の伸展が不十分であるために、手指の屈曲拘縮を引き起こしてしまうのです。付け根の関節を曲げつつ、指節間関節の進展運動を重点的に行いましょう。
神経の圧迫や炎症が改善してきたら、あまり大きな負荷をかけない筋力トレーニングを始めていきましょう。徒手筋力検査(MMT)の結果によって、各々のアプローチは異なります。